スピード:

 今月の中旬、実質5日間(ダイビングは4日間)の日程で、トラック諸島にダイビングに行ってきました。

 ご承知のように、トラック諸島は、戦前は日本が統治していた南洋群島の中の一つの大環礁の島々で、現在はミクロネシア連邦を形成する4つの州のうちの一つで、チューク州と呼ばれています。日本からはグアム経由となり、グアム島からは約1時間40分程度の所要時間です。

 このトラック諸島は先の大戦時に日本海軍の根拠地となっていて、連合艦隊司令長官の山本五十六が戦艦大和や武蔵の世界最大の巨艦に座乗し、このトラック泊地から指揮を執っていたことでもよく知られています。当時この2戦艦が停泊していたトラック泊地での大和と武蔵の写真は有名ですが、その写真の背景に写っている春島の島影は、海上から見ると今も変わらず、全く当時と同じ景色です。また、戦艦武蔵を係留していた巨大なブイは今も近辺の浅瀬に残っていて、ブイのそばまで行くとその巨大さがよくわかります。

 一方、トラック環礁は世界的なレック(沈船)ダイビングのメッカとして有名で、昭和19年2月のトラック大空襲で沈められた艦船、航空機をはじめ多くの沈船が比較的浅い海域にあり、日本人にとっては鎮魂の海ですが、欧米人にとってはレックダイビングの非常に人気が高い海域となっています。沈船のなかでも、特に富士川丸(航空機輸送船)は、映画「タイタニック」のキャメロン監督も絶賛したように、原形をとどめている美しい沈船として世界的に有名なようです。

 戦前は夏島が賑わっていたらしいのですが、現在ではトラック諸島の中心が空港のある春島に移っています。しかしその春島でさえインフラ整備はまだまだこれからの段階で、道路は大きな穴ぼこだらけのガタガタ、電気は昼夜を問わず頻繁に停電するので、それなりの覚悟をしていかないと大変です。